花柵わわわの二ノ国箱庭

主に二ノ国の二次創作をやっております。たまに別ジャンル・オリキャラあり。動物も好き。 Twitter始めました→https://mobile.twitter.com/funnydimension

【二ノ国小説】part2「護りたいがため」【※ks&グロ注意】

皆さんこんばんちは(*・ω・)ノ

迷いに迷った末に進路や将来というものを定めることが出来て、((遅過ぎ
あとは前進するのみとなりました。
…何故だろうか、進路考える時が一番“青春”を感じる((ぅえ
学生の皆様、進路や将来を考える時はくれぐれも真剣に。
真面目に考えると案外楽しかったりしますよ(゚∀゚)

p.s ついでに一つ教えよう…。
夏休みの課題は8月下旬から取り組むのが正しいやり方なんだZE☆(((氏

力を持つ人間を“罪人”と称し、その一人としてレイナスに襲いかかるルーフ。
対する“罪人”達は如何にして彼女を迎えるか。
そして何を思って迎えるのか……。

では今回も…ゆっくりしていってね
───────────────────────

二ノ国 magical another world

天地照光~金煌なる光の鳳凰~





ルーフは始めに、金輪をレイナスへ向けて振り下ろす。
「ふっ…!」
一方レイナスは、やや押されつつ右手の手甲で受け止めた。
そこに襲いかかるもう一つの金輪。
「うっ…ぐぅ…!」
左手の手甲も使って防いだものの、両手が塞がったうえ更に押されてしまった。

ここで後退すれば、二つの金輪に殴打される。

予想した彼女は脚に力を込め、反撃の隙を探しつつ耐えた。
しかし──────

「…甘い」

突如、片方の金輪を手甲から引き離すルーフ。
瞬時に装飾の赤い宝石が発光した。
「!?」
ほぼ同時に、そこから3発の光弾が散る。
レイナスは本能的に危険を察知し、もう一つの金輪から手を引いた。
次に弾を避けようと試みるが、右肩が3発の内の1発に被弾。
「あぁっ!」
刹那で変わる攻撃法に動揺し、対応が遅れたためである。
彼女は右肩を押さえ、ルーフから離れた。

「ぅあ……うぐ…」
被弾部分は僅かに余熱を残して、煙がほのかに漂う。
固体の弾丸と異なり貫通はしないが、そのぶん衝撃は全て肉体で受け止めることとなった。
故に鈍痛は骨の髄まで響き…糸を引いてレイナスに纏わりつく。
「この“輪”は単なる武具に非ず、貴公らのそれからして常軌を逸する代物なり」
ルーフの胸元で交差する金輪。
「詮ずるところ、貴公らの常軌を逸するに同じ」
それは再びレイナスの方を向き、双方ともに装飾が光った。

「だからと言って…私が退く理由はありません…!」

震える右手をかざして、レイナスは“魔法封じ”を発動させる。
「…!」
一時的に対象の魔法を封じることが出来る上級魔法。
それはルーフ相手でも効果を発揮し、金輪の光を消した。

「魔法使いと称される者達は、おおよそ接近戦が不得手である。
魔法を発するに、一定の時間と精神的集中を要するためだ。
故に対象とは相応の距離を保たねばならない……」

突如、ルーフが魔法使いの戦法について語り出す。
「先刻の動きを見るに、貴公とてそれは同様か…」
言葉のあと、今度は金輪を上空に浮かせた。

“魔法使い”というものを熟知しているかに思える彼女の言葉。
金輪から降り注ぐ光弾の雨。

それだけで窮地に追い詰められたと感じたが…。
「今度は光の全体攻撃ですか…なら!」
次なる策を考え、レイナスは更にルーンを描く。
「……より強く、より高密度な光で打ち消す!!」
彼女の有する光魔法“ミーティアライト”。
発生した光球が床に接触すると、それは密度を保ったまま拡大していき…文字通り光弾全てを打ち消しながら弾けた。
「ぬ……!?」
ルーフは強い光を目にして身構えるが、この単純かつ平坦な場でミーティアライトから逃れることはほぼ不可能であった。
「ぐうぁっ!!」
光の衝撃波と共にその身が吹き飛ぶ。

「貴女が例え私の全てを把握していても、私の力が通用しないとしても……私は抵抗し続けます。
ようやく“希望”を取り戻したから……現代の人々が、こんな私に“希望”をくれたから…」
静かに響くレイナスの声。
青い瞳は、湖面のごとく粛々と揺れている。

「…今度は私が護りたい。
彼らの“希望”……そして“笑顔”を!」

「“希望”…か。
…“罪人”め、貴公らがよく左様な世迷い言を────────」
起き上がりつつ言うルーフの言葉を、突然の光が遮った。
「……!!」
彼女は脊髄反射により目を固く閉じる。
どうも、この光はレイナスの身体から生じているらしい。
彼女の強大な魔力、それが一気に開放され具現化したのだろう。


光が止み、ゆっくりと瞼を動かすルーフ。
赤い瞳が映し出したものは…。
「“女王”よ…人を護りたいがため、自ら人を抛つか?」

虎や獅子や馬…それらを彷彿とさせる姿を持った、白く美しい巨獣だった。

「……およそ一万年間、心身ともに停留していた貴公すら…今や日進月歩すると言うのか…」
言いつつ、彼女は金輪を手元に戻す。
「その“希望”に基づいて積重されし努力、認めよう。
…認めた上で……」
それらより突如として生える刃。
金輪はそれぞれ片手剣に変わった。

「如何にそれが脆弱であるか、論理的かつ物理的に証明してみせようぞ」



その翌日、ルーフの所業は民間人までも認知することとなった。
故に彼らも動き出す…───────






~ナナシ城・王室~

「馬鹿な……女王様までもが…」
「ええ…“あの兄弟”を誘拐した者が、自ら戦闘中に語ったとのこと…」

かつて“死者の湖”と呼ばれ、今は生命を育む場と化した巨大な湖…その湖面に浮く漆黒の城・ナナシ城。
城主たる“漆黒の魔導士”ジャボーへ、彼の“イマージェン”であるエビルナイトが伝えた内容は衝撃的であった。



ボーグ帝国皇帝の居城に、とつぜん銀髪赤眼の女が現れた。
彼女が現れたのは“皇帝”かつ“賢者”ラースの眼前…つまり皇帝部屋である。

彼の所有する機械城の周囲と内部は、大勢の兵士が警備に当たっていた。
故に、誰にも気付かれぬまま皇帝部屋まで行くことはかなり難しい。
例外として、オリバー達が兵士に変装するという手を使ったが…あれも一時的な策であり、ラースの兄であるジャイロ無くして成功はほぼ不可能だろう。
どのような策を取ったにせよ、只人ならぬ存在には違いないが…事件の少し前、僅かに光が通り過ぎるのを見た兵士が何人かいるらしい。


彼女は直後にラースを襲った。
戦闘をするのに皇帝部屋は不向きで、一層彼を不利な状況に追い込んだ…が、彼はあえて外に誘い出そうとはしない。

城外には兵士がいて…国民もいる。

人を殺すことも躊躇しないであろうこの女との戦いに、彼らを巻き込むのはあまりに危険と判断したのだ。
すなわち自己犠牲の一環とも言えよう…ラースの体は程なくして限界を迎える。
その時だろうか…彼の名を叫びつつ、部屋の戸を勢い良く開く男がいた。

兄のジャイロである。

城内の異変にいち早く気付いた彼は、大通りの通行人に危険を知らせつつ押しのけ…事情を知らない兵士達の制止も構わず、国民に避難を促すよう指示して……ひたすら弟の所へと走ったのだ。


かくして、二人は人気の無くなった大通りに女を誘い出し共に戦った。
兵士達も彼らの援護や国民の護衛に周り、国民は建物内から見守り続ける。

だが、戦闘により体力を消耗した二人は突如その場に倒れた。

彼らの首に、いつの間にか銀の首輪が取り付けられていたのだ。
女が弱った隙を狙ったのだろう。
それには何かしらの魔力が込められているようで、ラースはピクリとも動かない。
その様子から“皇帝の死”と見間違え、顔面蒼白となった者も多かったらしい。
一方のジャイロは…気力によるものか、首輪の魔力に屈せず弟の首輪の破壊を試みる。
己と違い、弟はこの国を背負う存在であり…何より己が護りたい存在だ。
彼がラースの救助を優先するのは至極当然であった。

その想いも虚しく、傷一つ付かない首輪。

気力で抵抗するにも限界が訪れて…彼も動かなくなった。
取り乱す国民の声と、彼らの仇討ちとばかりに乱撃する兵士達。
それらを相手にすることもなく、女は二人と共に発光して消えた。


この誘拐事件は瞬く間に人々へ知れ渡る。
現在では国ぐるみで二人の捜索に当たると同時に、ボーグ軍“近衛隊長”ズッカが皇帝の代行者となっているという。



「…すると、その者が狙う人間には法則性が伺える」

ジャボーはまず、冷静に考察をした。
その上で、自らが行うべき最善の行動を見出すつもりだ。
「より強大な力、あるいは権力を持った人間…でしょうか」
エビルナイトもまた、彼の意図を察して協力する。
「やはり次は各国の国王か賢者か……。
だが、女王様の次にボーグの兄弟という順序や人選、これには別の法則性もありそうだ」
「と仰いますと…国王や賢者以外にいくらか思い当たる人物が居ますね」
単純な力や権力だけではない、襲われた個人個人を繋げる共通点。
それは…。
「……悲しみの世を救いし“救世主”。
そこに力を添えた者達」
ジャボーが独り言のように呟く。
「残るはマルとオリバー……それから──────」
「…私も含まれる、か?」
エビルナイトが具体的な名前を挙げ、考えていると主がその先を言う。
「その可能性は大いに…」

「我が元にその者が現れるか否か…いずれにせよ、果たすべきことは決まった。
…エビル、お前は普段と同じく門前に立て」

ジャボーが復活し償いに努めて以降、エビルナイトは門番としてナナシ城を守護している。
「ですが…」
その者が狙うのはあくまでも“人間”。
己の力が及ばぬ所で、ジャボーが襲われる可能性もあるのだ。
それに、その者は強大な力を持っている。
いくらジャボーと言えども、彼女と戦えば…。
「案ずるな…私はただ、護りたいがためにその者を迎え撃つ。
そこまで無謀な真似はしない」
彼の心中を察してジャボーが諭す。
「……承知致しました」
具体的にどんな策を練ったかは分からない。
だが、今は言葉通り主を信じることにした。
「そして…」
「…?」
「仮にその者が門前に来たら……お前も無茶な真似はするな」
「…はい」

納得した様子のエビルナイトを見て、ジャボーはどこか悲壮感のある微笑みを浮かべる。
己を案じてくれることへの感謝と同時に、何かを護るため抵抗したレイナスやボーグの兄弟の心中を察し、やりきれない気持ちになったのだ。




そして、その者は二人の想像以上に早く訪れる。



f:id:zzzxv437:20140819233132j:plain

f:id:zzzxv437:20140825133223j:plain

            ~END~