花柵わわわの二ノ国箱庭

主に二ノ国の二次創作をやっております。たまに別ジャンル・オリキャラあり。動物も好き。 Twitter始めました→https://mobile.twitter.com/funnydimension

【二ノ国小説】part10「反転」【※ks&グロ注意】

皆さんおはこんばんちは。
最近テストも終わって調子が良いです。
…てな訳で勢い余って10もハイペースで仕上げますたw

あ、タイトルにいつも“※ks&グロ注意”と記しておりますが、今回からは特に閲覧注意かもです((え
グロ…というよりも鬱……いや、ネタバレ防止のためこれ以上は止めます((ぅえ
とにかく、そういう表現大丈夫な方はどうぞ(´・ω・`)

では今回も…ゆっくりしていってね
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二ノ国 magical another world

精神融裂~モノクロームの絶対神


「ぐっ………。………?」
「…レイ…ナス……?」

レイナスは己を狙う刃に、思わず目を固く閉じた…が、体を貫通したにしてはかなり痛みが軽い。せいぜい針が刺さった程度の苦痛に感じる。
おそるおそる彼女が視界を開くと、驚いた様子のオリバー達、それに…────

「そんなっ…なっ、何故…!?」

更に驚いた様子の影がいた。
影は全身に脂汗を滲ませ、トライデントを手にした己の右腕を見つめる。
「…えっ…?」
レイナスは自分の置かれた状況が理解出来なかった。
確か、影は自分を槍で刺し殺そうとしていた筈。
その刃は僅かだが自分の胸部の肉を裂いており、純白の服は血に染まる。
なのに彼女は生きていた。そもそも刃は肋骨にすら届いていない…皮膚を貫通したに過ぎないのだ。

というよりも、影の右腕がそこで動きを止めた。右腕は細かく震え、影の意志に反し動こうとしない。
むしろ…今刺さりかけた刃を引き抜こうとしているように見える。

「どうなってやがる…!?」
「まさか…アイツの右腕が反発しとる……っちゅー訳か!?」
今自分の眼前に移る光景、そして仲間の言葉を聞いてオリバーは呆然と呟いた。

「……ジャボーだ…」

「ぐ…くっ……目覚めたとでも…言うんですか………ナシウスぅ…!」
「ナシウス…ですって…!?」
影はどうにか右腕を動かそうとした…しかしその度、強い圧迫感と骨が軋むような激痛に襲われる。更にそれは、徐々に全身へ広がってゆく。
「…何故今になってっ…許さない……そんなこと…許さっ…な……」
それでも影は左腕で右腕を掴み、無理にでも動かそうとした。
「ぐがぁああっ…!?」
だが、その左腕も影への反発を起こす。左腕は右腕とは逆方向へ動き、挙手するような形となった。

「な、何なの…どうなってるの……あっ!?」
セバは、オリバー達を襲う白大蛇の異変を見た。
「シャアアアァァ……」
力無い断末魔を上げ、白大蛇は闇となり消えてゆく。
「…どうやら、貴方の迷いを利用したあの手段……あれが仇になったみたいね…」
「ああ…あの時ジャボー様は無意識だったが…一度元に戻され、それにより自我が目覚めつつあるのだろう…」
リーストもエビルナイトも確信した。
彼が影へ斬りかかろうとした時に、影は一瞬だけジャボーの自我を戻していたのだ。
完全に無意識の彼が、それにより目覚めるとは思いもよらなかったらしい。
…誰にもこんなことは想定出来なかった。

「っ…!?」

突如、エビルナイトは目を見開き呟く。
「…やはり“斬れ”というのか…私に…」
「えっ…どうしたの…?」
リーストが問いても彼は沈黙したままだ。

「………やるしかない。今度は必ず斬る……」
ややあって、エビルナイトはゆっくり立ち上がり決心する。
間もなくして彼は疾風のごとく走り出した。
「ちょ…待って!!」
「まだ治りたてぇ~!」
リーストとセバが制止するが、その時にはもうオリバー達を越えようとしていた。

エビルナイト以外の者は気付けなかったが…影の左腕は彼に合図を送っていた。
それは僅かな間エビルナイトを指差し、それから宙を斬るような動作をするという…まさしく彼にしか察することの出来ない合図。
無論、伝えたかったのは
“この隙に私を斬れ”
という意味である。
何故ジャボーがオリバー達でなく彼にその勤めを任せたか…エビルナイトの心情を読み取った上で、己を最も躊躇なく傷付けられるのは彼だと判断したからだった。
彼には心身共に少々無理をさせてしまうが、重い物理攻撃が最も確実というのは確かである。


「ぐぅっ…あ、あぁ…!」
影は相変わらず、両腕の激痛に襲われていた…否、最早両腕だけに限らず全身へ広がっている。
ジャボーと対峙した時は、使い物にならない片足を強引にへし折ったが、今はそんなことも出来ない。
痛む箇所を切り捨て、苦痛を軽減することすらままならないのだ。

「おのっ…れえぇ……」
それでも尚右腕を動かそうとするが…───

「うっ…がぁあああぁぁ!!?」
「っ…!?」

またもレイナスは驚愕する。
突如、影の右目から血が流れたのだ。
「ああぁっ…ぐ……邪魔を…するなぁあああっ…!!」
どうやら、影の視界を狭めんとしたようだった。
これで、更に影の動きは封じられる。

そして。

「うっ…!?」

「…………」
影の…ジャボーの腹部を背後から刃が貫いた。
エビルナイトは、只無言で影を見つめる。
自ら呼吸を整えるため外した口布はそのままで、故に無表情が際立った。
「エビルナイト……!?」
驚き呟いたオリバーは、エビルナイトの目を見て更に目を見開く。
「っ……!」
ややあって彼らは皆辛辣な表情を浮かべた。

相当の覚悟が伺える、恐ろしいまでに冷徹な瞳と無表情。
しかし…蒼い眼はうっすら濡れているのだった。

「…なっ……ぐぉ…」
影は目を見開きつつ呻く。
まさかこんな形でやられるなどとは…
肉体が影を拒絶しつつあるのか、意識が遠のき外へ追いやられる感覚を覚えた。


いつからかモノクロに見えていた周りの世界。
それはじわじわ赤く染まってゆくのだった。

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          ~END~