花柵わわわの二ノ国箱庭

主に二ノ国の二次創作をやっております。たまに別ジャンル・オリキャラあり。動物も好き。 Twitter始めました→https://mobile.twitter.com/funnydimension

【二ノ国小説】part11「暗転」【※ks&グロ注意】

皆さんこんばんちは(*・ω・)ノ

と、ここで念のため忠告。
前回から申しているように、グロ表現・鬱描写が含まれておりますので苦手な方は閲覧注意かもです。
大丈夫という方は是非お目通しくだs((殴
……閲覧は自己責任でオナシャス(´・ω・`)

では今回もゆっくりできない内容だけどゆっくりしていってね

あ、スマホから文字の装飾する方法やっと知れて嬉しかったんで装飾しまくってまs((黙 あと今回長いんd(ry
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二ノ国 magical another world

精神融裂~モノクローム絶対神



     約100年前─────


「…ア、アレ…!?」

“裏切りの兵士”として祖国であるアルテナを追放された青年、ナシウスは混乱する。
敵国の賢者の娘を救い、その罰として居場所も家族も…全てを失って世界に絶望し“死者の湖”と呼ばれるこの湖へ身を投げた……筈だった。

確かに自分は湖へ飛び込んだのだ。その時全身を包んだ冷たい感触も、鮮明に覚えている。なのに…

何故自分は生きている?

気が付けばナシウスはずぶ濡れで岸に佇んでいた。
実を言うと、彼自身が人間離れした生命力を駆使して此処へ上がったのだが…本人にその記憶は無い。

「う…一体何だって言うんだ…」
ずぶ濡れになった体に風が当たり、思わず縮こまる。
今のこの状況が全く把握できなかった。
いくら何でも、この湖に沈みかけて助かるなどおかしい。しかも衰弱すらせずに…。

それに、水中で聞いたあの声。

どこの何者かも分からない声は言っていた。
その絶望を受け止めよう、絶望は心を飲み込みその力を凌駕する。
お前は世界を滅びへ導く存在…“執行者”なのだ、と。

そんなことを言われても…やはりナシウスは理解できない。
絶望が心を飲み込むとはどういうことか。
何故自分が世界を滅ぼすのか…何故自分でなくてはならないのか。
第一、自分は世界の滅びなど願ったこともないのだ。
自分が真に望んでいたのは…─────
「っ………」
そう考えた所で再び“あの時”の記憶…あの鉛のような絶望感が蘇る。
混乱して忘れかけていたが、自分はこれから生きたところでどうしようもないのだ。
そう思い再び自殺を図ろうとした時である。

『それでお前の心は救われるのか?』
「!!?」
どこからか声が聞こえた…あの声だ。
辺りをいくら見回しても、声の主らしきものは見当たらない。
「だ、誰っ…」
『この世界を観察してきた者だ……“灰の女王”と呼んでもらおうか』
「観察…!?」
『…まあそんなことは良い、お前は命を投げ捨てたところで救われるのか?…と問うておる』
“灰の女王”と名乗った彼女の言葉に、半ば苛立ちを覚えナシウスは言った。
「ならどうすれば良いのさ!?俺は守ろうとした子も助けられなかった!
挙げ句の果てに家や家族までっ……皆…皆俺のせいでいなくなってっ…」
『本当に自分一人のせいだと感じるのか?』
「え…」
いつの間にか涙ぐんでいた彼へ灰の女王は言う。
『真におかしいのは冷徹な軍の人間…延々と戦火が渦巻くこの世界だとは思わぬか?』
「っ…!」
図星であった。あの時も“女子供まで焼き尽くせ”と命じた上官、それを実行に移す仲間を疑ったのだ。
彼らはどうかしてしまったのではないか。人の心が無いのか、と。
「違う、俺のせいだ…覚悟が無かったんだ…」
しかし、それでも自分が余計な行動をしなければ、あの子は上官に見つからず自力で逃げ切ったかもしれないし…家族も助かっていたのだ。それで周囲を責めるのは甘え…彼はそう考える。
『女子供まで焼き尽くす覚悟…か』
「………」
『そんな覚悟などいらぬ。そのような真似ができるのは絶望を知らない人間。
お前のその絶望…それを奴らに知らしめてやるのだ』
「知らしめる…って…?」
『言いそびれたが、私はお前に力を与えた。
並み外れた魔力…そして生命力を。
お前が蘇ったのはそのためだ…それを引き出し、使いこなせるかはお前次第だがな』
「そ、そんな…どうしたら…」
『だから言ったろう。この世界を滅ぼせば良いのだ。
そして世界を創り直す…さすればお前が望んだような世界も実現できる』
「…そんな……」
彼は呆然とする。要はこの世界をリセットしやり直す、ということか。
頭では理解したが、どうにも話が漠然としていて飲み込めない。
『私の言うことに納得いかぬか…ならば、まずその目で人間の“真実”を確かめてみろ。
今のお前の目なら“真実”が見える…』
「えっ…どういうことだ!?…オイ!?」
言い残し、女王の声はパッタリと消えた。
「……仕方ない、まず此処を離れるか…」

とりあえず死者の湖を離れる。
行くアテもない彼は、どこを目指すでもなく歩き続けるばかりだ。
「………」
何気なく風景を眺めると、遠くにいくつかの廃墟が見えた。
飛び込む前は自分のことで精一杯で、周囲など見えないに等しかったが…今は精神的に僅かながら余裕ができている。
あそこはおそらく町で、戦火に飲まれ廃墟と化したのだろう……そんなことを考えていられた。

「!?」

その時のこと…彼は奇怪な動きで異様に速くこちらへ近付く人影を見る。
思わず身構えたが…。
「…助…け……くだ…」
距離が近付くにつれ鮮明となった人影は、赤子を抱きかかえる女性であった。
良く見ると女性の服装はボロボロで髪も乱れ…抱きかかえる子はどういう訳か流血している。
「ど…どうしたんですか!?一体何が…─────」
彼女を案ずるナシウスの胸部へ、赤子を押し付け女性が言い放ったのは…。

「お願いです、から…この子…買って下さい……」

「え……?」
一瞬、言葉の意味を理解出来なかった。
彼女が求めているのは、我が子か自分…あるいは両方の救済だと思っていたのに…まさか瀕死の我が子を人身売買へ引き出すとは。
「…でないと私…生きていけな……」

(そうだ、こんなもの早く手放そう。こっちがどんなに苦しいかも知らないでダダばかりこねる…こんな間抜けで臭くてとろいだけの生き物は…)

「…えっ……」
どこからか、憤りつつ赤子を罵る声が聞こえる。
そしてその声は女性のものだったが…自分へ話す声と異なり醜悪な口調と声だった。
「おねが…しまっ……」
(散々泣いて私を困らせたけど…こんなにしつけたんだからきっと大丈夫。
私は母親に向いてなかっただけ…産んでみなければ分からないこともあるんだから……私は悪くない!)
「そんな…!」
ナシウスは女性がそう言っていると思い憤る。
(…産まなきゃ良かった…こんな生き物。大嫌い……嫌い嫌い嫌い嫌いダイッキライ!!)
「…何で…そこまで……自分が望んでそうしたんだろ!?どうして少しも愛せない!?
こんなことするくらいなら…人の手を借りたり人に預けたりした方がよっぽど…!」
言い終えた時には、いつの間にか声は聞こえなくなっていた。
不信に思い女性を見ると…彼にもたれかかり息絶えたようである。
胸元には相変わらず赤子が押し付けられ、ナシウスの服を赤く染めた。

一体どうすれば良いのだろう…。

今は埋葬してやることも出来ないので、遺体を近隣の枯れ木へもたれかけさせる。
花でもあれば供えたいところだが…この辺一帯荒れ地で、雑草すら顔を見せなかった。
そして女性が遺していったこの子…ピクリとも動かないことから、“しつけ”とやらで絶命してしまったのかもしれない。 
そう思っていた時…。

(ツメタイ…クルシイ…)
「!?」

今度は幼子の声が聞こえた。
しかし、この子はどう見ても話せない年齢の筈だ。
まさか…と思い赤子を見ると。
(クルシイ…イタイ…)
「……!?」
赤子の口は動いていない…が、声が赤子の意志なのは明らかである。
では一体この声は…?

「…まさか……」

これは、相手が口に出しているのではない。
考えかけた時ナシウスは確信した。
おそらくさっきの女性の声も同じだ。
これが“真実”というものか。
しかし今は…。
「早く…助けなきゃ…!」
早急に彼は“ヒール”のルーンを描く。だが…。
「っ…!?…そんな……何で…」
ルーンは消え、何も起こらない。
「…クソッ!」
何度も、正確にルーンを描くが…何もそれに応えはしなかった。
それは与えられた力の代償なのだが、焦燥に駆られた彼には分からない。
「こうなったら……」
呟きつつナシウスが見たのは、少し遠くへ見える別の町。
助けを求めるしかない。
彼は赤子を抱きかかえ、その方向へ走る。

これが“真実”だと言うのなら…必ず助けたいと思う者がいる筈だ。

だって、それが“人間”という生き物だから。

彼はそう信じた。“人間”を信じた。
こんな目に遭っても、“人間”は好きなのだ。


今思うと、この淡い期待こそが私の絶望をより深くしたのかもしれない…──────

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         ~END~