花柵わわわの二ノ国箱庭

主に二ノ国の二次創作をやっております。たまに別ジャンル・オリキャラあり。動物も好き。 Twitter始めました→https://mobile.twitter.com/funnydimension

【二ノ国小説】part13「物色する影」【※ks&グロ注意】

皆さんこんばんちは(*・ω・)ノ

今回のテスト…理系教科は惨敗でした((どーでも良い
tkクリスマス前に何つーモン投稿してくれるねんっ!!
…それはさておき、 グロ表現・鬱描写が含まれておりますので閲覧の際は気を付けて下さい。
前話のラストで、嫌な予感がした方がほとんどと思いますが、挿絵も文も“出来るだけ”自重するよう善処致します((ヲイ

最後に…今回は特にキャラ崩壊・猟奇的描写が多めです。
…が、今回以上に過激な内容にする予定は今後ありません((ぅえ

では今回も…ゆっくりしていってね
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二ノ国 magical another world

精神融裂~モノクローム絶対神



「あぁあああぁああ腕がぁあっ私のうでがああああぁあ!!?」
一瞬にして片腕を失った男性は、恐怖と苦痛から叫び悶える。

「…では、そちらに入っているのかな?」
先程もぎ取った肉塊を投げ捨て、男性の方を向く青年……その目は少し前までと別物だ。
彼は男性の元へゆっくり近付く。
ねっとりしたような歩み方で。
「ああっひ…来るなっ、くるなぁ化け物がぁああ──────」

黒い触手で射抜かれる彼の身体。
触手は痙攣を起こす男性の体内を這い、破壊し…
やがて、そこに肉片が飛び散った。

単なる肉と化した男を、青年は歪んだ笑顔で見つめる。

「やっ…やっぱり敵襲だあああぁっ!!」
「逃げろっ、殺される!!!」
「オイ邪魔だどけええ!!」

人々は他者を押しのけ阿鼻叫喚する。
一方青年は彼らを追うでもなく、赤子の遺体を道端に置き笑いかけ……姿を消した。
「えっ……消えた?」
「気を付けろ!一体どこから現れ─────」

二人の男女の頭も消える。

人々が気付いた時には、二つの生首を絡め取った彼の姿が。
「く、首が、人の首がああぁっ!!」
「嫌ああああああああぁ!!!?」
「ぅぷえっ…むえ゛え゛え゛え゛エエェ!!」
更に混乱する人々。
あまりに衝撃的な光景で嘔吐し、泣き叫び…。

「おかしい…ここにも無いとは……」
彼は解体した生首を見て自分の首を傾げる。
人が思考するために不可欠な器官。
ここならもしや、と思ったが…剥き出しになったそれを見つめたところで何も聞こえない。何も見えない。
只の肉塊と化してしまった。

一体どこに“心”はあるのだろう。
そう思いつつも、それ以前にやりたいことがある。
実行へ移そうとした時……。

「燃えろ化け物ぉ!!」
「?」

声の方を振り向くと、眼前にまで迫る大量の炎…複数の“ファイアボール”が見えた。
奥の方には、人々の中で魔法使いと思わしき者達の姿も。
「ぐふっ…!」
避ける間もなく、彼は無数の炎をモロに浴びる。
「ア゛ア゛ア゛ア゛アアァァッ!!!」
どこか奇怪な悲鳴がコダマした。


「く…は……」
煙が上がる中、焼死体同然の姿で横たわる青年。
こんな体では動けそうもない。
「…くくっ…ふふふ…ふふ…」
しかし彼は突如含み笑いする。
「あははひゃひゃ…はひゃははははは!」
それは間もなく狂った笑い声となった。

これだけ強力な“ファイアボール”が撃てるなら“ヒール”も使えるだろうに。

あの子の命も救えただろうに。

やはり見殺しにしたんだ、“コイツら”は。
ほんの僅かな手間を惜しんで。

青年にとって、彼らが己を守るため惜しみなく
魔法を操る姿は滑稽極まりない。
先程までは虫も殺せぬ優男だったが、そんな彼も遂に決心が固まる。
だが時既に遅し…これでは何も出来ぬ。

「……?」

その時、青年の頬に何か小さな粒が当たった。
「…これは…雪…?……いや…」
雪にしては冷たくないし、第一乾燥している。

まさかこれは。

彼がくすんだ上空を見上げると、自分のいる場所にだけそれは降り注いでいた。
「…うっ…!?」
今にも停止しそうだった心臓が強く脈打つ。
「がほっ…うぅっ…ぐっ!」
あまりの激しさで胸が苦しくなる程。
実際の鼓動は健常者と変わらないのだが、心臓が急激に活発化したための一時的な苦しみである。
「…あっ…くはぁ…。……っ!?」
彼はようやく気付いた。
それが傷口から体内へ浸透し、己の火傷を癒やし……おぞましき力を流し込んでいることに。

間違いない。これは湖の中で見た、あの輝く粒子……。

「………」
やっと今の心拍数に慣れてきた…と同時に妙に気持ちが高揚する。
まるで脳を刺激し、強い快楽をもたらすという麻薬を摂取したかのよう。
……代償に何かを失う点も同じだ。
彼は既に先程失った…否、捨てたのだが。


周囲の煙が消えかけ、無意識に高揚していく気持ち。

今なら本当に何でも出来る。

そんな思いを胸に、青年は全身から“闇”と呼ぶべき漆黒の気体を放出させた。




「あひゃはははははははははははははははは!!!」


高笑いと共に煙中から現れし者…それは全身に漆黒の魔導衣を纏っている。
その手には質素な杖も…。
本人より大きな外套が彼の魔力で翼のように揺れ、人々の目には悪魔が映った。

「な、なにっ…何で生きてるんだアイツはぁ!?
…私は逃げるぞ逃げ切ってやる!
私だけでも生き残るんだあああっ!!」
炎を放った魔法使いの一人は錯乱しつつ悪魔へ背を向け、走り出す。
その直後。

「…へ?」
「そうか…そうですか。
そんなに了見が狭かったんですかぁ…」
目の前に突如悪魔は現れた。
魔法使いは、全く心情の読めない瞳と笑顔に引き込まれて─────
「あぢゃっ!?」
蒼炎に包まれ青年と同じく黒コゲとなる。
ただし、こちらは完全な炭だが。


「また誰か死んだ!?」
「あ、悪魔だっ…俺達を地獄へ連れに来たんだあああああぁ!!」
「馬鹿なこと言わないでよ!?
そんなことあってたまるもんですかぁっ!!」

人々は更なる恐怖で走りつつ泣き喚き、はたまたショックで動けず呆然とした。
これが悪魔…漆黒の魔導士ジャボーが人間へもたらした最初の“絶望”。
「……一人も逃がさない」
しかしジャボーはまだ止めない。

心の腐ってしまった可哀想な民に、あの子の“絶望”を教えてやらねば。
どんなに苦しもうと誰も助けてくれない、誰も愛してくれない…そんな“絶望”を。

それこそが成し遂げたいことである。
あの子を見殺しにした者は、一人残らず…─────


杖のお陰で先程より力を引き出し、コントロール出来るようになっていた。
不思議なことに、自分が聞いたことも見たこともない魔法のルーンばかりが脳内に刻まれている。

そんな魔法の一つを発動して町全体を見渡せる程高く飛翔する彼。
混乱する人々が一人一人鮮明に見えた。
迷うことなく袖から大量の触手を地面へ植え付けて…。

「な、何だっ…うわあああぁ!!!?」
人々の周囲から、触手の束が生え彼らを包囲していく。
束は人々の前に立ち塞がり、一人も漏らさぬよう褶曲し互いに組み合わさる。

やがて、そこへ黒く巨大なドームが出来上がった。


「で、出られねぇ…出られねぇよお!!」
「完全に閉じ込められたのか…」
「う、嘘!こんなの夢でしょ!?夢に決まってる!」
人々の周囲は真っ暗で、出口の証となる光も無かった。
出口などどこにも無いのだから当然と言える。

「人の夢は儚く…嘘は信じた者を不幸にする」

暗闇の中で、青白い紋様と二つの丸い瞳が光り出した。
ジャボーがドーム外から中へ瞬間移動したのだ。
真っ暗で何も見えない筈だが…彼にだけは鮮明に見える。
色彩の乏しい、くすんだ民衆の心が。

「これは現実なんです、“夢”を見るのは止めなさい。
“信じる”ことも止めましょう、自分に裏切られてしまいます」

その口調は妙に明るく、そして妙に無機質だ。
暗闇で浮かべる笑顔も同様。
しかし、その目だけは違った。

「こんな“心”などいらない……皆潰れてしまえ」

純粋な殺意だけを感じる瞳…人々が最期に見たものである。




間もなくして、ドーム内より多くの悲鳴が上がった。
その直後ドームは肉を潰したような音を立て、大量の赤い液を噴きながら圧縮される。
それを空中から眺める男が一人……。

「くくっ…あははっ、
はぁひゃははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

その狂った高笑いが町へ響く。
短時間で町は絶望に染まり…一人の心優しい青年は狂気に染まった。


二ノ国に、一つの厄災が誕生した瞬間である。

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             ~END~