花柵わわわの二ノ国箱庭

主に二ノ国の二次創作をやっております。たまに別ジャンル・オリキャラあり。動物も好き。 Twitter始めました→https://mobile.twitter.com/funnydimension

【二ノ国小説】part7「灰の降るカオティック世界」【※ks&グロ注意】

皆さんこんばんちは((
この小説も中盤に差し掛かりましたよっと( ̄∇ ̄)

ますます素性が分からなくなっていく影は何を語るのか…と、前置きしておきましょうかねw((は
 今 回 も 長 く な り ま す 。

では今回も…ゆっくりしていってね
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二ノ国 magical another world

精神融裂~モノクローム絶対神



「まず、君には“神の意志”を教えるべきですね……知っていますか?遥か昔から生物は誕生と絶滅を繰り返してきたことを」
「あ…うん…」
「ハハッ、素直でよろしい…そしてそれは決して昔話などではなく、今も続いている…言ってしまえば、人間もいつかは絶滅する時が訪れる訳ですよ」

影は敵意も見せず淡々とオリバーへ語りかける。
「…それで、神様の代わりに自分が人間を滅ぼすとでも言うの…!?」
一方オリバーは、影に対し警戒心を露わにした。
しかし影は気にも止めないらしく、平然と話を続ける。
「違いますよ。
それではかつて、灰の女王が果たそうとした目的になってしまうではありませんか……私が先程、“増えすぎた人間を減らす”と言ったのは単なるバランス調整のことです」
「…!?」
「私は世界を滅ぼしたい訳でも人間を滅ぼしたい訳でもない。
人間の末路を変えたいだけなんですよ。
人間は端から見ると奇妙な生き物でしてね…他の生物は己の命や子孫を残すことを至上としますが、人間は時に別のことを優先します。
他者のために命を落としたり…己の“名誉”や“誇り”という良く分からないもののために、他者の命を奪ったり見捨てたり……」
「っ……」
影が語っている内容の中には、微かにジャボーの過去が混ざっている…オリバーは内心そう思っていた。
…すると、ジャボーへ取り憑いた影は何故彼の過去を知っているのか。
影の正体とは一体何だというのだろうか…─────

「では、人間がそのような奇行をするのは何故か……簡単なことです。
人間は他の生物と異なる独自の概念を創り過ぎた。
善と悪…幸と不幸…普遍と異端…そんなもので己と他者を一区切りに分けようとするから、自分で自分の首を絞めることになる」
「…何が言いたいんだ!?」
「静粛にしなさいな……さて、そんな状況を根こそぎ無くすにはどうすれば良いか…そんな概念を壊せばよろしい。
そして概念を壊すためには……」
そこで、穏やかだった影の笑顔が狂気を孕む。

「人間から理性を…心を消し去れば良い」

「っ…!!?」
「それはこの男や灰の女王が成そうとしたこととは似て非なるものだ…“人間を進化させてやろう”という考えが無かったのですよ。
中途半端に意欲を消してもまだ理性が残っている上、完全に心が消える訳ではない。
増してや彼らに進化する余地すら与えず世界ごと消そうなど…あまりにも悲しい話ではありませんか」
「何を…言ってるか分からないよ……」
オリバーは声を震わせて言った。
「…大丈夫、理解できないのは恥ではない。
まとめれば、人間を他の生物と同化させるということです。
魔法“キメラ”ならそれも容易…そこから生まれる世界は素晴らしいものですよぉ…」
惚悦とした様子で影が語り続ける。
「人間はまず、己の命と種の繁栄にだけ執着するようになる。
よって生物として最大の使命を果たすことが容易になりますよ。
それだけではなく…そんな世界に幸も不幸もありはしない。
言い方を変えれば皆平等に幸せなのです」
「……」
「どれほど無惨な姿の屍を見ても何も感じず、親が殺されても決して相手を恨まない…当然でしょう。
他者が死のうが何の支障も無いし、自らが自立すれば親は不必要…彼らはそう思っているのですから。
それどころか、情を持つ者は徹底的に排除するでしょうね…」
影の話し方からは、僅かに興奮が感じられた。自らが望む世界を想像しているのだろうか。
「古き親を新たな子が排除し、何があっても皆笑っている平和な世界を創る…これほど素晴らしいことが他にありましょうか?」
「…そんな……」
オリバーは反論しようとするが、上手く言葉が出ない。
ジャボーすら恐怖した影の狂気を、彼も感じたのだ。

「…はい、これが君の知りたがっていた私の目的ですよ。
今度は約束通り私の質問に答えてもらいます」
影が表情と口調を戻す。
しかし、その質問もとんでもないものだった。

「そもそも心はどこにあるか分かりますか?」

「……え?」
オリバーは混乱する。
「これだけはどうしても分からないのですよ…昔、必死になって探したけれども見つからなくて…」
「さ…探したって…?」
思い当たる部分から隅まで探しましたとも……それはもう、脳や心臓から、骨にかけて隅まで…ね」
「……!!!」
その言葉で遂に彼は戦慄した。
と、同時に激しい怒りがこみ上げる。

「…お前は…絶対に間違ってる……」
「…?」
「お前は…一体誰だ!?」
声を強くしたオリバーを見て、影は微笑んだ。
「…そうですね。
まだ名乗っていませんでした…いやぁ、済まない」
それから、丁寧にお辞儀をする影。
「私は名を持たぬ存在…されどもこの男から生まれし存在。
…初めまして、私は最近までナシウスに根付いていた“心の闇”です」
「心の闇…!?それじゃあ、お前は……」
「言ったでしょう?この体は私の物だと…あ、でもこの男と一緒にはしないで下さいね。
私は長きに渡り彼から押さえ込まれていた…一つの肉体に収まっていただけで、既に分かれていたのです」


「良く見るとコレ…再生してない…!?」
マルが息を切らせて言う。
「一本を再生前に切るのは簡単ですが…集合すると再生力も上がるらしい……」
ラースからも疲労が感じられる。
彼らは何とかオリバーを助け出そうとするが、この球体が崩れる様子はない。
その時だった。

「皆さん…私も力を貸しますっ!!」

その声と共に、宙から輝く光の矢が降り注ぐ。
「その声……レイナス!?」
彼らがその存在に気付いた時、矢は球体に当たって消えた。
多少大きな効果はあったものの、球体を破壊するには程遠い。
「やはり駄目ですか……」
言いつつレイナスが降り立った。
レイナス…どうして…」
「遅くなって申し訳ありません…私も気付いていたのです。
この場所へ、迷える魂が殺到していることを」
すると、彼女は“ミーティアライト”のルーンを描き出す。
「状況は良く分かりませんし…誰が元凶かも分かりませんが、まずはコレを破壊せねばなりませんね……一斉に、最大限の攻撃をぶつけましょう!」


「お前が苦しめてたのか……ジャボーを…」
「苦しめていたとは人聞きの悪い。
…まあ、彼の心がもう少し弱ければ君達でもどうしようもない状況をつくれたし…早い段階で仕留めることも出来たのですがね」
「だからジャボーは一人で…?」
「そう…この男は私を自らの手で始末するつもりだったらしい。
君達への恩返し兼責任を果たす気だったのでしょう…だが、肉体を乗っ取りさえすれば元も子もないのですよ。
そんなことより救世主君……」
影は口元を裂き、触手をオリバーへ向けうねらせた。
「結局君はどう思う?
ねぇ…君の心はどこにあるんですか?
……分からないようなら、もう一度良く探してみましょうかね」
「っ……」

その時、影とオリバーの周囲が明るくなった。
「うわっ!?」
「オリバー!危ないからこっち来い!」
そしてオリバーはジャイロに強く手を引かれる。
「っ…なっ!?」
一面が真っ白になり、影もかなり動揺を見せた。
「…ぐっ…あああああっ!!!」
同時に、彼は身を焼かれるような苦痛に襲われる。
一瞬で破壊されるとは思わなかったらしく、無防備に光を浴びる影。
ミーティアライトはグラディオンに匹敵する光魔法…効果は絶大だ。

「くっ…」
光が止んだ頃には、影はうずくまっていた。
「あ…貴方は……!?」
ジャボーと似て非なる者を見たレイナスが、目を見開く。
「…やはり貴女でしたか……救世主以外でこれほどの光を操る者など…貴女しか考えられない」
「ジャボー…なのですか…!?」
影はレイナスへ笑いかける…が、その眼からは激情が感じられた。
「…もう私を忘れたのですか…?
貴女にとってはたかだか百年でしょう?
……しかし不意打ちとは酷い真似をなさる…」

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         ~END~